壹岐の島に到りて、やかまろ)の忽に鬼病(えやみ)
   に遇ひて死去(みまか)りし時に作る歌一首 短歌を
    并せたり
天皇(すめろき)の 遠(とほ)の朝廷(みかど)と 韓國(からくに)に 渡るわが背(せ)は 家人(いへびと)の 齋(いは)ひ待たねか正身(ただみ)かも 過(あやまち)しけむ 秋さらば 歸りまさむと たらちねの 母に申(まを)して 時も過ぎ 月も經ぬれば 今日か來む 明日かも來むと 家人は 待ち戀ふらむに 遠の國 いまだも着かず 大和をも 遠く離(さか)りて 石(いは)が根の 荒き島根に 宿(やど)りする君                  (15−3688)
  反歌二首
石田野(いはたの)に宿(やど)りする君家人のいづらとわれを問はば如何(いか)に言はむ     (15−3689)
世の中は常かくのみと別れぬる君にやもとな吾(あ)が戀ひ行かむ                   (15−3690)
   右の三首は、挽歌(ばんか)なり。

雪連宅満の墓