蕷(やまいも)

  吉野にして作る
皇祖神(すめがみ)の 神の宮人 冬薯蕷葛(ところつら) いや常(とこ)しくに われかへり見む(七ー一一三三)

  菟原處女(うなひをとめ)の墓を見る歌
  一首 短歌を并せたり
(前略) ししくしろ 黄泉に待たむと 隱沼の 下延(したば)へ置きて うち嘆き 妹が去ぬれば 血沼壯士(ちぬをとこ) その夜夢に見 取りつづき 追ひ行きければ 後れたる 菟原壯士(うなひをとこ)い 天仰ぎ 叫びおらび 足ずりし 牙喫(きか)み建(たけ)びて もころ男に 負けてはあらじと 懸佩の 小劒(をたち)取り佩き ところつら 尋(と)め行きければ 親族(やから)どち い行き集ひ 永き代に 標にせむと 遠き代に 語り繼がむと 處女墓(をとめつか) 中に造り置き 壯士墓(をとこつか) こなたかなたに 造り置ける 故縁(ゆゑよし)聞きて 知らねども 新喪のごとも ね泣きつるかも(九ー一八〇九)