十市皇女薨りましし時、高市皇子尊の
御作歌三首
三諸の 神の神杉 夢にだに 見むとすれども 寢ねぬ夜ぞ多き (二ー一五七)
三輪山の 山辺真麻木綿 短木綿 かくのみゆゑに 長くと思ひき (二ー一五八)
山振(やまぶき)の 立ちよそひたる 山清水 酌みに行かめど 道の知らなく (二ー一五九)
紀に曰はく、七年戊寅夏四月丁亥の朔の癸巳、
十市皇女卒然病発りて宮の中に薨りましぬとい
へり。