天皇と太后と共に大納言藤原の家に幸(いでま)す 日に、黄葉せる澤蘭(さはあららき)一株を拔き取りて、 内侍佐佐貴山君(ささきのやまのきみ)に持たしめ、大 納言藤原卿と陪從(へいじゆ)の大夫等とに遣賜(たま) ふ御歌一首 命婦誦みて曰はく この里は 繼(つ)ぎて霜や置く 夏の野に わが見し草は黄葉(もみ)ちたりけり (一九ー四二六八)
=ひよどり