大伴宿禰家持の、時じき藤の花と萩の黄葉(もみち)と の二物(ふたつ)を攀ぢて坂上大孃に贈る歌二首 わが屋前(やど)の 時じき藤の めづらしく 今も見てしか 妹が咲容(ゑまひ)を (8−1627) わが屋前の 萩の下葉は 秋風も いまだ吹かねば 斯(か)くそ黄変(もみ)てる (8−1628) 右の二首は、天平十二年庚辰夏六月に往来す。