松

   中皇命(なかつすめらみこと)、紀の温泉(ゆ)に
   往(いでま)しし時の御歌
わが背子は 假廬(かりほ)作らす 草(かや)無くは 小松が下の 草を刈らさね  (1−11)

   有間皇子(ありまのみこ)、自(みづか)ら傷(いた)
   みて松が枝(え)を結ぶ歌二首
磐代(いはしろ)の 浜松が枝を 引き結び 眞幸(まさき)くあらば また還り見む    (2−141)

卷向の 桧原(ひはら)もいまだ 雲居ねば 小松が末(うれ)ゆ 沫雪(あわゆき)流る(10−2314)
      右は柿本朝臣人麻呂の歌集に出ずるなり