但馬皇女高市皇子の宮に在しし時、穂積皇子 を思ほして御作せる歌一首 秋の田の 穂向きの縁れる 異縁りに 君に縁りなな 言痛くありとも (巻二ー一一四) 水田に寄す 住吉の 岸を田に墾り 蒔きし稲 さて刈るまでに逢はぬ 君かも (巻十ー二二四四) 秋の田の 穂の上に置ける 白露の 消ぬべくも 吾は 思ほゆるかも (巻十ー二二四六)