さねかづら(美男葛)

木から粘る液が出整髪料に用いたので
美男葛というらしい。ここではその液を足が
滑るように用いている。

故、聞き驚かして、兵(いくさ)びとを河の辺に伏せ、亦其の山の上に、絁垣(きぬがき)を張り帷幕(ひきまく)を立てて、詐(いつは)りて舍人(とねり)を王(みこ)に為(し)て、露(あら)はに呉床(あぐら)に坐(ま)せ、百官(もものつかさ)恭敬(ゐやま)ひ往き來する状(さま)、既に王子(みこ)の坐す所の如くして、更に其の兄王(あにみこ)の河を渡らむ時の為(ため)に、船檝(ふねかぢ)を具(そな)へ餝(かざ)り、佐那(さな)〈此の二字は音を以ゐよ。〉(かづら)の根を舂(つ)き、其の汁の滑(なめ)を取りて、其の船の中の簀椅(すばし)に塗りて、踏みて仆(たふ)るべく設(ま)けて、其の王子(みこ)は、布(ぬの)の衣褌(きぬはかま)を服(け)して、既に賎(いや)しき人の形(すがた)に為(な)りて、檝(かぢ)を執りて船に立ちたまひき。
        (応神記 大山守命の反逆)

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