娘子、佐伯宿祢赤麻呂の贈る歌に 報へる一首 千磐破る 神の社し なかりせば 春日の野辺に 粟蒔かましを (巻三ー四〇四) 佐伯宿祢赤麻呂更に贈る歌一首 春日野に 粟蒔けりせば 鹿待ちに 継ぎて行かましを 社し怨めし (巻三ー四〇五) 作主未詳歌一首 梨棗 黍に粟継ぎ 延ふ葛の 後も逢はむと葵花咲く (巻一六ー三八三四) 〈梨・棗が実り、黍に続いて粟も稔るように君に会っているが、野に這う葛のように後も逢おうと、葵〈あふひ=逢ふ日〉の花が咲くことだ〉